「私は『発想力』があります」とエントリーシートに堂々と書く方は少なくないです。

特に多いのは、将来的に企画職やクリエイティブな仕事に就きたい方。

発想力を活かして、

「イベントを企画するサークルで企業とコラボレーションして200人集客しました!」

「フリーペーパーの企画営業で30万円の広告を契約することができました!」

など、一見華々しいエピソードを持っている方が多いのも特徴。

でも、このエントリーシートは高い確率で落とされます。

なぜだと思いますか?

motoyuri
もっと奇抜な発想をする人がいるから?

それもありますが、そうではありません。

大事なのは「発想力」ではなく、「発想」までにあなたが努力した過程

それを発想力と表現してしまっては勿体ないですよ。

その理由を書いていこうと思います。

自己PRに「発想力」「企画力」を書いたら落とされる?その理由と真のPRポイントを解説

そもそも自己PRに「発想力」を選ぶのは、危険すぎる

本題に入る前に大前提を一つ。

就活の自己PRを「発想力」にしてしまうのは大変危険です。

理由は、ほとんどの学生の発想力は大したことないから。

ごく稀に素晴らしい発想力を持つ人はいますが、ほとんどの方は人並みの発想力しか持っていません

例えば、

学生 「私は発想力があるので、私の発想力を活かして御社で誰も思いつかない新製品を開発したいと思います」

面接官 「そうですか。では、何を開発したらいいと思いますか?発想力があるなら、私たちに今教えてください」

どうです?答えられますか?

motoyuri
その道のプロの方たちが何十年かけて何十人・何百人が協力しても生み出すことのできなかった新商品を、面接の場で答えられる自信はちょっとないかな・・・

ほとんどの学生は、少し真剣に考えたら出てくるような答えしか考えられません。

でも、それでいいんです。

企業もそんな人は求めていません。いるなんて思っていません。

motoyuri
じゃあ、平均より斬新な考え方ができて、企画職やクリエイティブ職の仕事に就きたい場合は、何をアピールすればいいの?人より発想力があるのは確かだよ。

ここでもう一つ質問。

あなたの発想は、本当に発想力から産み出されたものですか?

発想を導くために、努力したことは何?

あなたがイベントを考えた時、記事広告を考えた時、その他斬新な企画を考えた時、どんなことをしましたか?

・ひたすらノートにアイデアを書く

・参考となる本をかたっぱしから読む

・ターゲットとなる人に話を聞きまくる

・アイデアのヒントを探してSNSを何度も検索する

何でもいいんです。つまらないことでも。

企業が知りたいのは、あなたが「発想したこと」ではなく、「発想するまでに費やした過程」です。

ここで一つの例を紹介します。

AくんのPRすべき力は、発想力ではない

イベント企画で企業とコラボレーションした大学生のAくんは、考え練った企画を提案してイベントを成功させました。

Aくんはこの経験から「自分のPRポイントは発想力だ」と思って就職活動をしていました。

面接の場では、その出来事に対して「学生なのにそんな経験をしていてすごいね」と言ってもらえることは多かったです。

しかし、自身の「発想力」をPRしようとしても、人事の方の反応は微妙なもの

人事担当者
君の企画はおもしろいと思うけど、その企画は既に何年も前からうちの会社で出ているものなんだ。

答えに詰まってしまうことが多く、面接で落ちてしまうことが続いたAくんは、もう一度自己分析を始めました。

自己PRでAくんが使っているエピソードについて、もう一度思い返してみることに。

自分で考え練った企画で、企業とコラボすることに成功し、イベントは大盛況だった。

しかし、当初はターゲットとしていた企業にコラボレーションを断られてしまっていました。

Aくんは、コラボレーションが断られた理由を尋ねるために何度も企業を訪問し、「今の企画では集客が見込めない」という意見を教えてもらいました。

その問題を解決するためにも、Aくんは、イベントの集客ができると見込めるという根拠になるアンケート調査を行い、イベントのターゲットから開催場所まで変更しました。

その企画を提案したところ、企業側から「その企画なら協力しよう」と言ってもらい、コラボレーションをしてもらうことができました。

いかがでしょうか?

この場合、「発想力」よりも「目標達成能力」「忍耐力」「チャレンジ精神」などが、Aくんの力となります。

このように、人事が聞きたいのは、あなたが考えた企画の内容ではなく、

・企画を考えるためにどんな過程を歩んだのか。

・どんな苦労をして、どんな努力をして、その結果を導いたのか。

ということになります。

PRする力は再現性のあるもので

発想力をPRする能力としてしまうと、実際に就職した時にその力が発揮されるかわかりません。

motoyuri
実際に面接の場では、ほとんどの人が考え付く企画案しか出てこなかったですからね。

でも、企画を考えるための過程で行った努力は、再現性があります。

先程の、努力を惜しまず企画を練り直したエピソードを聞いた人事担当者は、「新商品の企画をAくんに任せること」を想像します。

人事担当
Aくんは、企画を考えるために、企業や顧客のニーズを足を運んで調査して、壁に当たってもめげずに提案し続けていた経験がある。
そんなAくんであれば、今回の企画も自分の足を使って調査し、何度も練った企画を考えてくれるだろう。

Aくんはきっとうちに来ても活躍してくれる。

Aくんが必死に新しい企画を考える姿を想像することができた人事の方は、そう確信しました。

幾多の選考を乗り越えた後、Aくんは念願の企画職の内定を得ることができました。

このように、自己PRは「自分が経験したことのない場所でも、その力を発揮できる」ということを容易に理解してもらわなくてはいけません。

motoyuri
この「容易に」というのもミソ。
勘のいい人はわかると思いますが、人事の人がエントリーシートを読む時間は一瞬です。
大企業ならなおさら。

先ほどの「発想力」と書いたエントリーシートでも、人事の方が深く掘り下げてくれたら内定に繋がったかもしれませんが、そんなに人事は暇じゃありません。


すぐに再現性が思い浮かばなかった場合、即刻「書類選考落ち」となってしまうことが多いです。

そうならないためにも、すぐに会社で活躍できることが想像できるPRをするように心掛けましょう。

学生時代に華々しい企画経験をした人ほど、注意が必要

自身の企画で華々しい結果を挙げたみなさん。

PRする力を「発想力」「企画力」としている場合は、本当にその結果が「発想力」や「企画力」で生まれたのかどうか、今一度考えてみてください。

・その企画を考えるまでにどんな努力をしましたか?

・どんな工夫をしましたか?

その部分こそ、あなたの「発想力」に繋がるPRポイントではないでしょうか?

人事が求めているのはその部分。

再現性のある自己PRを心掛けて、自身のPRポイントをもう一度考えてみて下さい。

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